目覚めてから三時間後。
彼女はようやく、ひとつの事実を確信した。
これは夢ではない。
もしこれが夢だというのなら、あまりにも現実的すぎる夢だった。
足元の草原は風の向きに合わせて色を変え、遠くに広がる湖は太陽の光を浴びて金色の波紋を浮かべ、空を流れる雲はまるで巨大な海のようにゆっくりと動いていた。

そして、彼女が何よりも無視できなかったことは——
ここには誰もいないということだった。
救助隊もない。
街もない。
道もない。
それどころか、彼女が知っている文明の痕跡すら存在しない。
そこにあるのは、ただ果てしなく広がる草原。
そして、ますます強くなっていく空腹感だけだった。
彼女は温かな岩の上に腰を下ろし、自分のお腹にそっと手を当てた。

「つまり……」
「別の惑星へ転移した後、私が最初に考えることは、どうやって帰るかじゃなくて……」
彼女は自分のバックパックへ視線を向けた。
「……何を食べるかってこと?」
少しばかり滑稽な話だった。
彼女はこれまで、無数の異世界転移後の展開を想像してきた。
宇宙文明との出会い。
古代遺跡の発見。
謎めいた能力の獲得。
あるいは、未知の種族に選ばれることさえ。
しかし、自分が見知らぬ惑星の上で、昼食の心配をして座り込むことだけは、想像したことがなかった。


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