それは、どこにでもある普通の夏の日だった。
街は高温に包まれ、天気予報は何日もこう告げていた。
最高気温:38℃。
太陽に焼かれたアスファルトは白く輝き、空気の中には目に見えない熱の波が漂っているようだった。
主人公はいつものように仕事を終え、家へ向かう帰り道を歩いていた。
手には半分溶けかけたアイスドリンク。
耳元には街を走る車の音と、建物の外で回り続けるエアコンの室外機の音が響いていた。
彼女が空を見上げた瞬間、突然強い眩暈に襲われた。


その瞬間、彼女は子供の頃からずっと信じていた、ある一つのことを思い出した。
「この世界には、きっと別の場所へ続く道が隠されている。」
幼い頃、彼女は星を眺めることが好きだった。
いつも、こう思っていた。
宇宙はあまりにも広い。
人類が探索できた場所など、ほんの一部に過ぎない。
もし地球の外に無数の未知なる惑星が存在するのなら、きっと二つの世界を繋ぐ“扉”もどこかにあるはずだ。
それは、もしかすると――
誰にも発見されていない山奥の谷。
深海の奥深くに眠る場所。
不思議な磁場を持つ区域。
あるいは、ただ普通の人が通り過ぎるだけの場所なのかもしれない。
大人になった頃、周囲の人々は彼女のことをただの空想好きだと思うようになった。
友人は笑いながら尋ねた。
「もし本当に外の惑星へ続く入口があるなら、どんなものだと思う?」
彼女は真剣に少し考えた。
そして答えた。
「きっと、一筋の光だと思う。」
「それか、大きな転送ゲート。」
「とにかく、ものすごく壮大なものになるはず。」
彼女は一度も想像したことがなかった。
本当の入口が――
ある暑い夏の日の、
熱中症だったなんて。


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